第334章

 藤原光弘の声には、骨の髄まで凍りつくような冷たさが宿っていた。それこそが、この男の本性だ。

 傲慢にして冷酷。

 愛する女ひとりを例外として、彼にとって他人は物資と何ら変わりない。

 その圧倒的な威圧感に、秋山柔子は息を呑んだ。

 藤原光弘の口から『南アフリカ』という単語が出た瞬間、彼女の身体は意思に反して震え始めた。

 そうだ。

 彼が私をあそこへ送ったのだ。藤原光弘があの土地の惨状を知らぬはずがない。

 あそこは人間が住む場所ではなかった。

 生き地獄と言っても過言ではない。

 女一人であの国に放り出され、美貌と肉体を切り売りして一時の安寧を買う以外、生き延びる術など...

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