第338章

「父さん、もう喋らないでくれ……何でもない、きっと良くなるんだ」

 安田時也は首を横に振り、目の前の現実を頑として受け入れようとしない。

 ただ一人、長男の安田延司だけが一歩前へ進み出て、お爺様の最期の願いを引き受けた。

「父さん、安心してください。棠花は安田家の姫だ。俺たちがいる限り、彼女を傷つけるような真似をする奴がいれば、安田家総出で敵に回すことになる」

「その言葉が聞ければ、十分だ」

 その時、秋山棠花の顔はすでに涙でぐしゃぐしゃになっていた。

 祖父の言葉が、紛れもなく最期の遺言であると悟ってしまったのだ。彼女はどうすればいいのか分からず、ただ立ち尽くすことしかできない...

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