第350章

 佐藤玲が秋山棠花のために尽くしていることは、安田礼も重々承知していた。親友である彼女の献身は、すべて棠花を思ってのことだ。

 しかし今、彼には一刻の猶予も許されない、棠花に伝えねばならない重要事項があった。

 彼は佐藤玲に声をかけ、少しの間だけ席を外してほしいと頼んだ。棠花と二人きりで話す必要がある、と。

 佐藤玲は事情が飲み込めない様子だったが、安田礼の険しい表情を見てとり、大人しく従った。

 安田礼はベッドのそばに歩み寄ると、泣き腫らした秋山棠花の瞳を見つめ、その手を強く握りしめた。そして、静かに語りかける。

「棠花、起きているのはわかっているよ。……実は今、どうしてもお前に...

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