第354章

 秋山棠花は、込み上げてくる激情を必死に抑え込もうとした。だが、無理だった。

 あいつらが傷つけたのは、彼女の子供なのだ。

 命に代えても守り抜きたかった、自身の血肉なのだから。

 自分はどうなってもよかった。けれど、あの子だけは――あの子だけは彼女にとって唯一の希望であり、同時に最大の弱点でもあった。もう胎動だって感じていたのに。それなのに、あの子がこの世の光を見ることは、二度とない。

 真実を突きつけられた藤原光弘は、雷に打たれたように硬直した。

「棠花、信じてくれ。俺が……俺たちの子を傷つけるような真似を、見過ごすはずがないだろう? それに、秋山柔子は……」

 あの誘拐事件...

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