第366章

 案内されたのは、古色蒼然とした趣のある個室だった。メニューを置くと、ウェイターは一礼して下がっていく。

 秋山柔子は何気なくページをめくったが、そこに並ぶ料理名はどれも目にしたことのないものばかりだ。

 だが、その価格設定を見るだけで、それらがどれほど希有な珍味であるかは想像に難くない。

 その時、ウェイターがポットに入ったお茶を運び、秋山柔子の前に一杯注いだ。馥郁たる茶の香りが部屋中に満ちる。

 茶の心得などない秋山柔子でも、その香りだけで只事ではない品だと理解できた。

「お客様、ご注文は今なさいますか?」

 相手がいつ来るか確信が持てない秋山柔子は、手を振ってバッグを脇に置...

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