第384章

 藤原光弘の眼差しが確信に満ちていくほど、秋山柔子の心は恐怖で縮み上がっていく。

 そもそも、あの「物」になど触れたことさえないのだ。最後にどこで見たかなんて、知るよしもない。

 唐突な詰問に、柔子の頭の中は真っ白になった。だが、黙っているわけにはいかない。彼女は必死に言い訳を捻り出した。

「光弘兄さん、どうしてそんなに怖い顔をするの? もうずいぶん前のことじゃない、いちいち覚えてるわけないでしょ?」

「それに、あの時わたしは兄さんを海から助け出して、自分だって死にかけたのよ。ドサクサで物をなくしたって不思議じゃないわ。それを今さら問い詰めるなんて、どういうつもり?」

 懸命に反論...

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