第390章

 颯が口を開くより早く、光弘が機先を制した。

「藤原グループを管理しているのは俺だが、人事の任免権まで独断で持っているわけじゃない。兄さんがその気なら、まずは爺さんに話を通してからにしてくれ」

 光弘は淡々と言葉を続ける。

「爺さんが兄さんに会社を任せると言うなら、俺は文句ないから」

 光弘は両手を広げてみせた。表向きは颯に選択権を譲ったように見える。

 だが実際には、本当の決定権を握っているのは彼の方だ。

 案の定、その言葉を聞いた瞬間、颯は眉をひそめた。

「光弘、どういうつもりだ。お前が家督を継いでから、爺さんが会社のことに口を出さなくなったことぐらい知っている。今さら爺さ...

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