第397章

 佐藤玲は皮肉っぽく鼻を鳴らした。

 この男、自分を何様だと思っているのか。堂々たる安田家へ、こうも易々と入り込めるとでも思っていたのだろうか。

 ズキズキと痛む頭を抱えながら、高橋久弥はようやく目を開けた。

 視界に映ったのは、冷ややかな視線を向ける奥様と、あからさまに嘲笑を浮かべた佐藤玲の姿だった。

 だが、彼が最も会いたいと願う人の姿は、どこにもない。

 高橋久弥は秋山棠花の目を見ることができなかった。自分のしたことが決して褒められた行為ではないことは分かっているし、何よりここは、奥様の家なのだ。

「あら、随分とお静かになったこと。さっきまでの威勢はどうしたの?」

 佐藤...

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