第400章

 その言葉に、秋山棠花と高橋久弥は同時に息を呑んだ。

 握っていたはずの温もりが消え、高橋久弥の顔色が変わる。

 日向琴葉の冗談だと思った。

 だが、続く彼女の言葉が、その思考を真っ白に染め上げた。

「秋山さん、誤解です。彼とはただの友人……それ以上の感情もなければ、結婚なんてありえません」

 友人?

 好きじゃない……?

 高橋久弥は心臓を鷲掴みにされたような痛みに襲われた。あの日向琴葉が、そんな残酷な言葉を吐くなんて信じられなかった。

 心は通じ合っていたはずだ。

 なのに、なぜ急にこんなことに。

「琴葉、嘘だろ?」

 高橋久弥は蒼白な顔で、再び彼女の手を強く握りし...

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