第420章

 だが、秋山棠花はそれを目にしても、表情一つ変えなかった。

 愛だの結婚だのに夢を見られる人間には、これが輝いて見えるのだろう。けれど、離婚を控えた自分には、もう何の感慨も湧かない。

 藤原光弘と別れたら、残りの人生は一人で自由気ままに生きていきたい。

 愛情も、結婚も、二度と御免だ。すべて拒絶したい。

 誰かの一挙手一投足に振り回されるのも、あの人に愛されているのかと不安になるのも、もうたくさん……。

 これからは自分のためだけに生きて、ただ笑っていたい。誰かのために生きるのは、もう終わりにするのだ。

 そう割り切ってしまうと、目の前の光景が急に色褪せて見えた。立ち去ろうと踵を...

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