第436章

「安田家は他家の事情に口出ししない主義だが、本当に困った時は俺に連絡しろ」

 安田延司はそれだけ言い捨てると、藤原光弘に返事をする隙も与えず、手をひらりと振って病室を出て行った。

 閉ざされた扉を見つめながら、藤原光弘の胸中は容易には鎮まらなかった。

 あの延司叔父さんが、個人的な立場として力を貸すと言ってくれたのだ。

 かつては顔を合わせるたび、半殺しにしなければ気が済まないといった形相で俺を敵視していたあの人が……。

 それがいまや無条件で、事情すら問いただすことなく手を差し伸べてくれている。

 心が揺さぶられないはずがない。

 これらすべては、秋山棠花と結婚した当初から既...

ログインして続きを読む