第437章

 藤原グループ本社。

 オフィスに戻った藤原光弘の顔色は蒼白だったが、仕立ての良いスーツが包帯を隠しているおかげで、外傷があるようには見えなかった。

 悟らせるわけにはいかないのだ。

 窮地に立たされた人間がさらに手負いとなったことが知れれば、敵はいっそう図に乗り、情け容赦なく襲いかかってくるだろう。

 コンコン、と控えめな音が響く。

「藤原社長、お戻りですか」

 アシスタントの田中金美がドアをノックし、恐る恐る声をかけてきた。

「ああ、入れ」

 光弘は居住まいを正した。その姿からは、微塵の異変も感じ取れない。

「社長、会議の時間は通達済みです。三十分後に会議室へお越しくだ...

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