第438章

 藤原颯は、秋山棠花の傍らに寄り添う男の正体を瞬時に見抜いた。

 ——柏木浬だ。

 安田グループの副社長にして、棠花の幼馴染。

「あの二人が、揃って普華寺へ?」

 それは傍目には、デート以外の何物でもない。

 藤原颯の脳裏に、以前藤原家で藤原光弘から受けた「警告」がよぎる。

 颯の表情が曇った。焦燥と危機感が胸に渦巻くが、それを面に出すような真似はしない。

「手土産を用意しろ。秋山棠花に会いに行く」

「はっ、藤原さん」

 部下が踵を返して去っていく。

 窓辺に残された颯は、ぎゅっと拳を握りしめた。

 秋山棠花は俺のものだ。誰にも奪わせはしない。

 一方、安田家。

 ...

ログインして続きを読む