第443章

 翌朝のことだ。

 藤原家の当主が本邸のダイニングで朝食を摂っていると、庭の方から車のエンジン音が響いてきた。

 すぐに執事が歩み寄り、報告する。

「大旦那様、颯様がお戻りです」

 お爺さんは感情の読めない視線を窓外へ向け、淡々と応じた。

「うむ、丁度よい。あやつも呼んで一緒に食わせろ」

 同席していた山田蓮花は、颯の名を聞いた途端、露骨に不快そうな色を浮かべた。

 彼女は即座に立ち上がり、こう告げる。

「お義父さん、ご馳走様でした。私は部屋に戻ります」

 自分の息子が不在の今、夫が外で作った隠し子など顔も見たくないのだろう。

 視界に入れるだけでも穢らわしい、とでも言い...

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