第472章

 またあの、反吐が出るほど白々しい口調と態度だ。藤原光弘は鼻で笑った。

「へえ、じゃあ兄さんのご配慮に感謝しなきゃいけませんねえ……」

 藤原颯は涼しい顔で、テーブルの上のコーヒーを一口啜る。その声色からは感情が読み取れない。

「お前は俺の弟だ。安全を案じるのは兄として当然だろう」

 これ以上、無駄口を叩く気にもなれない。ましてや偽善者の説教など御免だ。

「もういい。やるべきことは終わったんだ。いつまでその能面を被り続ける気だ? 見ていて吐き気がする」

「まあ、そう警戒するな。今日は別にお前を断罪しに来たわけじゃない。私物を取りに来ただけだ」

 藤原光弘は口端を釣り上げた。

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