第494章

「それから、お祖父様のことだけど……夫婦仲が戻ったふり、してあげるわ。かつて、あなたが私にしてくれたようにね」

 藤原の祖父は、彼女にとっても大切な家族だ。その老人が遺恨を抱いたままこの世を去るのを、ただ黙って見ていることなどできない。

 彼女はそこまで非情にはなれなかった。

 かつて彼女の祖父が重篤だった時、藤原光弘は愛妻家のふりをして祖父を欺き、安らかに逝かせてくれた。

 今度は、彼女がその時の借りを返す番というわけだ。

「棠花、俺たちは……こんなはずじゃ」

「『はず』も何もないわ。私は誰かに貸しを作るのも、借りを作るのも嫌いなの。これで貸し借りなしよ」

 秋山棠花はこれ以...

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