第502章

「棠花、まだ出てこないの?」

 門の外から佐藤玲の声が響き、秋山棠花はスマートフォンをしまうと小走りで外へ向かった。

「今、行くわ」

 停められた漆黒の高級車の傍らから、仕立ての良いスーツに身を包んだ柏木浬が降りてくる。その瞳は、姿を現した棠花を捉えるなり、ぱっと輝きを帯びた。

 明らかに、彼女目当てであることが分かる眼差しだ。

「浬くん? こんな時間にどうしたの」

 今や安田家の副社長を務める彼だ。棠花は反射的に、仕事の用件だろうと考えた。

 だが、傍らにいた玲は棠花の鈍感さを懸念したのか、浬が口を開くより先に、彼の背中を棠花の方へぐいと押し出す。

 そして、ここぞとばかり...

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