第530章

 藤原颯の瞳の奥には、重苦しいまでの警告と威圧感が渦巻いていた。

 藤原光弘は知っていた。この兄という男が、目的のためなら手段を選ばない人間であることを。兄にとって藤原家は安らぐべき「家」などではなく、祖父に至っては肉親どころか、怨嗟と憎悪の対象でしかない。もし彼に唯一、心残りがあるとするなら――。

 それは恐らく、秋山棠花のことだけだろう。

 だが、それでも。光弘はもう、かつてのように怯んで退くつもりはなかった。

「兄さん。祖父を盾に脅せば、僕が怯えるとでも思ったのかい?」

「それは間違いだ。祖父のためだからこそ、僕はあなたの正体を暴く。会社をこれ以上、食い物にさせるわけにはいか...

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