第540章

 藤原光弘と安田家を天秤にかけているも同然の問いだ。

 秋山棠花が選ぶのは間違いなく前者だと分かっていても、彼は賭けに出たかったのだ。万が一にも、彼女の心にまだ自分が住んでいるかもしれないという期待を込めて。

 試さなければ、永遠に彼女の答えを知ることはできないのだから。

 秋山棠花は黙り込んだ。

 迷っているのだ。

 滑稽な話だ。あくまで仮定の話なのに、これほど真剣に思い悩むなんて。

 ましてや、今の彼女と藤原光弘はもう夫婦ですらないというのに。

 たとえ藤原家に何が起きようと、彼女には一銭の得にも損にもならないはずだ。

 だが、藤原家がこのまま崩れ去るのを黙って見ているこ...

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