第55章

彼女は素早く視線を引き、起き上がってコップ一杯の水を飲んだ。

ベッドに戻ると、また藤原光弘のその姿を見て、歯を食いしばりながらも、結局我慢できずに立ち上がってタンスを開けた。

中から毛布を取り出し、ベッドに持ってきた。

何気なく彼にかけてから、秋山棠花はオレンジ色の明かりに照らされたその顔をじっと見つめ、思わず見とれてしまった。

認めざるを得ない、この世には生まれながらにして神に愛された人間がいるのだ。

たとえ藤原光弘の人格に一つも取り柄がなくとも、彼の整った顔立ちは、眉骨の高さも相まって、女である彼女さえ羨ましく思うほど完璧だった。

彼女はそのままの姿勢で、数分間も見つめていた...

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