第59章

山の中腹を走る急な山道に、藤原光弘と秋山棠花の二人は全神経を集中させていた。

天暮山は半山公路よりもずっと難易度が高かった。

深まる秋の夕暮れは早く、視界はすでに悪くなり始めていた。

藤原光弘は前方を見つめながら、同時に隣を走る彼女の様子も気にかけていた。

前回のように、勝つためだけに自分の身を顧みないことがないように。

二人の車両は山間を駆け抜ける幽霊のように、素早く、そして俊敏だった。

コーナーを曲がる際、二人の車からは火花が散った。

前方の最後のカーブまであと数十メートルというところで、藤原光弘はなおも食らいつく。

秋山棠花の車はすでに限界速度に達していた。最後のカーブ...

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