第600章

彼はピタリと足を止め、高橋久弥の行く手を遮るように立ちはだかると、唐突に問い詰めた。

「高橋久弥、本当のことを言え。楠田青が証人として出廷すること、お前は前から知っていたんじゃないのか!」

「えっ?」

高橋久弥は不意を突かれて呆然とした。遅れて自分がどこかでボロを出したのだと気づいたが、藤原光弘の前で怪しまれるような行動をとった記憶はいくら考えても出てこない……

「ふ、藤原社長、私は、何も知りませんよ?」

「本当に、何も……」

言えないのには理由がある。奥様から、藤原社長には事前に絶対話さないよう固く口止めされていたからだ。もし情報が漏れれば、すべてが水の泡になってしまう。

だ...

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