第662章

秋山棠花はこくりと頷いた。

結婚前、藤原光弘は彼女の婚約指輪を用意するため、わざわざ南アフリカまで足を運んで危険を冒し、その後も密かに盛大な結婚式を準備してくれた。

すべては、彼女がこれまで経験できなかったことを埋め合わせるためだった。

だから今、彼女も彼に心のこもったささやかな贈り物をしたかった。

受け取ったら、喜んでくれるだろうか。

佐藤玲は秋山棠花の視線を追い、そのサファイアのカフスボタンを目にすると、彼女の表情を見て瞬時にすべてを悟った。

片眉をひょいと上げて口を開く。

「藤原光弘に買ってあげるつもり?」

「うん、彼によく似合うと思って」

秋山棠花は一切隠さなかった...

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