第68章

秋山宏章が胸を押さえて苦しんでいるのを見て、佐藤芳子は慌てて彼を支え、座らせた。

秋山柔子は秋山宏章と佐藤芳子の前に立ちはだかり、彼女と安田時也を指差して罵った。

「秋山棠花、あんたとこの男の関係を知らないとでも思ってるの? まだ光弘兄さんとも離婚してないくせに、よくもまあ堂々と間男を連れ出せるわね。光弘兄さんに知られて、藤原家から追い出されるのが怖くないの?」

「間男、間男って、誰があんたにそんな口を利く度胸を与えたのかしら。まあ、秋山宏章に育てられた娘なんて、たかが知れてるわよね。あんたたち一家は、教養ってもんがどう書くのかも知らないんじゃない? 人の血を吸うことしか能がない寄...

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