第682章

  アンナは安田グループに入社した当時のことを今でも覚えている。ちょうど副社長が退任し、秋山社長がグループを引き継いで間もない頃で、身の回りの業務を管理する特別アシスタントが不足していたのだ。

 縁があったのだろうか、その日の面接は異常なほど順調に進んだ。

 秋山社長は男性アシスタントを求めておらず、当日集まった候補者の中で女性はアンナだけだった。いくつか簡単な質問をされただけで、即座に採用が決まったのだ。

 今振り返っても、自分は天に愛された幸運な人間だとアンナは思っている。

 しかし、出社初日に秋山社長から妊娠している事実を告げられ、今後の業務にはアシスタントとしての職務だけでな...

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