第698章

彼女もそれを知らないわけではなかった。ただ、関係を悪化させたくないからこそ、あえて知らないふりをしているのだ。

どうあれ、彼らは祖父と共に苦労を重ねてきた古株たちだ。祖父が健在だった頃は彼女の好きにできたが、祖父が亡くなった今、昔からのよしみを思えば、あまり無下な扱いはできない。

それに、あの古狸たちはどいつもこいつも抜け目がない。

些細なことでは甘い汁を吸おうとするが、いざ原則に関わる重大な局面となれば、やはり一心に安田グループの側に立ってくれる。

それこそが、秋山棠花が彼らを安田グループに留まらせている理由だった。

「でも、あなたの体が……」

日向琴葉はやはり心配だった。秋山...

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