第700章

秋山棠花が化粧室から出た直後、藤原光弘から電話がかかってきた。いつ終わるのか、車で迎えに行くから、と彼は言う。

秋山棠花は怪訝な顔で時間を確認した。まだ九時にもなっていない。

藤原光弘にしては、ずいぶんと急かしてくる。

普段から会食や集まりは少なくないのに、今日に限ってなぜこんなに催促するのだろう。

彼女が口を開くより先に、電話の向こうから高橋久弥の声が聞こえてきた。

「奥様、藤原社長ではなく、私が琴葉に早く会いたいんです。彼女はお酒に弱いですし、今日は入社初日でしょう。万が一、誰かに無理やり飲まされでもしたらと心配で……」

秋山棠花は思わず吹き出した。どうりで藤原光弘が急にべっ...

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