第71章

佐藤芳子も慌てて同調する。「そうよ、光弘さん。うちの柔子ちゃんがあなたを待つためにどれだけの時間を無駄にしてきたと思ってるの。彼女を見捨てるなんてこと、できないわよ」

そう言って、佐藤芳子は秋山柔子を藤原光弘の胸へと突き飛ばした。

秋山柔子も馬鹿ではない。この機に乗じて藤原光弘の腰に抱きつこうとする。「光弘兄さん、本当に柔子ちゃんのこと、もう要らないの……?」

手が男の服に触れた瞬間、秋山柔子は突き飛ばされた。

床に叩きつけられ、呆然とした表情を浮かべる。「光弘兄さん?」

藤原光弘は立ち上がり、顔を曇らせた。「もういい、秋山柔子。償うべきものは全て返した。お前に借りはな...

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