第73章

「藤原様、こんな時間に申し訳ありません。棠花から伝言です。あなたと正式に離婚することを決めた、と。明日の九時までに市役所へ。来なければどうなるか、お分かりですね。それから、あなたが安田家から購入されたダイヤモンドネックレスの代金ですが、明日にはあなたの口座に振り込まれます」

「藤原様が話の分かる方なら、二度と彼女の生活を邪魔しないでいただきたい」

安田時也の口調は淡々としていたが、脅しの色は少しも薄れていなかった。

以前、藤原光弘がこっそり国外へ高飛びし、棠花を一人市役所に置き去りにした一件。彼はそれを一生忘れない。

こんな責任感のない男に、彼の棠花はふさわしくない。

そして、二度...

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