第756章

安田延司は椅子に深く腰を下ろし、まるで何事もなかったかのような穏やかな声色で口を開いた。

「どうした、棠花。私に相談したいこととはなんだ」

「延司おじさん、この子の名前をつけてほしいんです」

安田延司は虚を突かれたように瞬きをした。

「私が、名付け親に?」

だがすぐに何かを察したのか、眉間に深い皺を刻む。

「それはお前の考えか? それとも、あいつの入れ知恵か」

その『あいつ』が誰を指すのかなど、わざわざ口に出すまでもなかった。

安田延司からすれば、秋山棠花が藤原光弘を庇うために、でっち上げた口実だとしか思えなかったのだ。

なにしろ子供は藤原家の血を引いている。あの藤原光弘が...

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