第764章

安田延司は信じられないという顔をした。

他の面々は両手を広げ、やれやれとお手上げ状態だ。

やはり、長男である彼はこの事の重要性に微塵も気づいていなかった。義姉さんが怒るのも無理はない。

「兄貴、言いたかないけど、義姉さんが子供を欲しがってることくらい、一番そばにいる兄貴が一番よく分かってるはずだろ。なんで本人の前で分からないフリなんてしたんだよ」

根が真っ直ぐな礼が、その場で単刀直入に問い詰めた。

「俺は……」

安田延司は言葉に詰まった。

だが、確かに反論の余地もない。

佐藤玲が子供を欲しがっていることなど、夫である彼が気づかないはずがない。ただ先程は、どうしてもその方向へ思...

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