第779章

 山田蓮花は、赤ん坊の名前が「ゆい」であることだけは知っていた。

 だが、藤原家にとって初孫であることに変わりはない。男の子であれ女の子であれ、血筋の細い藤原家にとっては極めて重要な存在なのだ。

 もちろん、蓮花が最も危惧していたのは、この子が安田家に奪われることだった。

 手術室の外で、安田家の兄弟たちが交わしていた会話を、彼女はしっかりと耳にしていたからだ。

 安田家は兄弟こそ多いものの、下の世代にはまだ一人も子供が生まれていない。その上、秋山棠花の安田家における立場はあまりにも特殊だった。

 かつてはお爺様でさえ、棠花の産んだ子が安田豊文に連れ去られ、安田家の跡取りとして育て...

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