第785章

その言葉を聞き、安田延司の顔色もサッと曇った。

長男である彼は、兄弟たちの性格を誰よりも熟知している。

皆一見すると色恋沙汰に無頓着に見えるが、実際のところ一度心を許せばそれは一生涯を賭けることになる。こと恋人に対する態度となれば、この人と決めたら二度と揺らぐことはない。

そんな時に愛する人の身に何か起きれば、どれほどの自制心があろうともゼロに等しくなるのだ。

棠花がこれほどまでに緊張するのも無理はない。

思えばここ数年、時也が何かの出来事でここまで衝動に駆られることなどなかった……

秋山棠花は朔也おじさんの鋭い洞察力に驚きつつ、こくりと頷いて言葉を継いだ。

「確かに向こうでト...

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