第807章

ごくありふれた一言だったが、それを聞いた北野薫の心臓はぎゅっと締め付けられた。

彼女は尋ねた。

「どうするつもりなの? お父さんたちが兄さんを追い詰めて株を手放させたんだよ。このままじゃ会社の資金繰りもショートしちゃう。あの人たちはあらゆる手段を使って、あなたを屈服させようとするわ。会社の将来まで犠牲にするなんて……」

そこから先の言葉は、どうしても声にならなかった。

自分がいなければ、彼がこんな残酷な選択を迫られることもなかったのだ。

あれは、彼がたった一人で血の滲むような思いをして築き上げた事業なのだから。

それが自分のせいで水の泡になるなんて、ただ黙って見過ごすことなど絶対...

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