第811章

 秋山棠花の言葉に、安田延司の隣に座っていた佐藤玲は賛同するように頷いた。

「棠花の言う通りだと思うわ。北野さんはどう見ても時也にベタ惚れって感じだし、じゃなきゃこんな時期に安田家に来たりしないわよ。それに、あの二人なら話したいことが山ほどあるはずじゃない。一時間くらいなんだっていうの。熱愛中なんて、誰だって毎晩のように夜通し電話するものよ」

 何気ない一言だったが、それを聞き流せない者がいた。

 その言葉を耳にした安田延司は、ふっと声を低くした。

「お前、誰かと夜通し電話したことがあるのか」

 決して小さな声ではない。食卓を囲む全員の耳に、その言葉がはっきりと届いていた。

 そ...

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