第812章

夜も更け、皆がそれぞれの部屋へと戻っていく中、佐藤玲は北野薫を連れて三階にある安田時也の部屋へ向かった。

安田延司は再び時也に電話をかけた。今回、向こうの状況を尋ねることはなかった。彼が何をしようとしているのか、おおよその見当はついていたからだ。

止められないのなら、できる限り力を貸してやるまでだ。

コール音が鳴るか鳴らないかのうちに電話は繋がり、時也の優しく軽快な声が耳に届いた。

「薫?」

「どうしたの。電話を切ったばかりなのに、もう俺に会いたくなった……」

「時也、俺だ」

延司の声だと気づいても、時也に気まずい様子はなかった。同じ家族なのだ、長兄なら分かってくれるという信頼...

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