第816章

 秋山棠花はすぐに合点がいった。

 藤原光弘の顔色がみるみる険しくなっていくのを見て、慌てて彼の腕を掴み、弁解するように口を開いた。

「誤解しないで、こちらは時也おじさんの彼女の北野薫さんよ。半年前、あなたが藤原グループで一度助けてあげたことがあって、薫姉ちゃん、ずっとお礼を言う機会を探していたの」

 そこでようやく、藤原光弘は思い当たった。

 ここ最近は会社のことにかかりきりで、安田家内部の事情には疎かった。秋山棠花から説明されなければ、そんな出来事などとうの昔に忘れていたに違いない。

「藤原さん、その節は助けていただきありがとうございました。あなたがいなければ、私、どこへ行けば...

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