第85章

外からお爺様の声が聞こえてきたが、その時の藤原光弘は既に弓に番えられた矢であり、放たれざるを得なかった。

もうこれ以上、我慢などできなかった。

部屋の扉には内側から鍵をかけ、僅かな布切れ一枚で覆われただけの秋山棠花を見つめる。その瞳には、彼女を呑み込まんばかりの濃密な情欲が溢れていた。

「秋山棠花、チャンスはくれてやった。そっちから飛び込んできたんだ」

「残りは自分でやるか? それとも俺が手ずから剥いてやろうか?」

その声は極限まで嗄れていた。

だが、もう二度と手放すつもりはなかった。

藤原光弘の、人を喰らうかのような双眸と視線がぶつかり、秋山棠花の全身がこわばる。...

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