第5章

 四谷家の最上階ペントハウスで、私は目を覚ました。

 翔一の仕事ぶりは、想像以上に容赦がなかった。たった四十八時間で、彼は「勝矢」としての権限と松本の前当主の承認を盾に、勝矢名義の資産を根こそぎ掌握した。ジャージー島のペーパーカンパニーを噛ませて飛ばしていたマネロン口座も、スイス連邦銀行の最上級ブラックカードも――すべて翔一の手中に落ちた。

 そして何より、勝矢が桃香のためにケイマン諸島に用意していた海外の裏資金を、翔一は全面凍結した。

 勝矢の金で湯水のように浪費し、毎晩五百万円の大統領スイートに泊まることが当たり前だった「高嶺の花」は、一瞬で天国から泥沼へ叩き落とされた。クレジット...

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