第107章 自分がいなくなったら、この子がどうなるのか

時間は待ってくれない。

辻本雨妃と立花時安は一瞬だけ視線を交わした。次の瞬間、立花時安が江口若葉の手首をがっちり掴み、刃物を奪い取る。辻本雨妃は間髪入れずに踏み込み、江口零を自分の背へ引き寄せた。

それでも江口若葉が暴れようとした、その頬に——

ぱぁん、と乾いた音。

雨妃の平手が容赦なく叩きつけられた。

「いい加減にしなさいよ! あんた、あの子が生まれるのをあれだけ待ち望んでたくせに……どうして今さら、一緒に死なせようとするの!」

江口若葉の瞳が揺れ、ようやく呼吸が落ち着く。立花時安はその隙を逃さず、彼女の腕を引いて出口へ向かった。

雨妃も江口零の手を掴み、外へ——そう思った矢...

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