第140章 わざと引っかき回しに来てる

そう言いながら、辻本雨妃は手を上げ、自分の襟元のブローチにそっと触れた。

小ぶりで繊細なそのブローチは、陽の光を受けてかすかにきらりと反射する。

周囲が何のことか分からずざわつく中、彼女は口角をわずかに上げて告げた。

「このブローチには、超小型の隠しカメラが仕込んであります」

声は大きくない。けれど、近くにいる者の耳には十分届いた。

「今日ここで起きたことは、全部記録されています。もし誰かが勝手なことを言いふらすなら、映像をそのまま公開します」

その言葉を聞いた瞬間、日野遥の顔色がさっと変わった。

彼女は雨妃の胸元のブローチを食い入るように見つめ、瞳の奥に一瞬だけ動揺が走る。だ...

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