第144章 立花時安は出国することになった

翌晩は、立花グループの周年記念パーティーだった。

ホテルの宴会場は、眩いほどの豪奢さで整えられている。

実験の責任者である辻本雨妃は、当然その席に出席することになっていた。

煙灰色のロングドレスは、彼女の細いラインを過不足なく引き立てる。襟元は控えめなV字で、繊細な鎖骨がのぞいた。髪は低い位置でまとめ、耳元には小さなパールのピアス。

派手に目を奪う装いではない。けれど、言葉にしがたい品がある。

会場に足を踏み入れた瞬間、いくつもの視線が彼女へ向いた。

「辻本様、こちらへどうぞ」

スタッフに案内され、雨妃は軽く頷いて歩き出す。淡い視線で会場を一巡させた。

立花グループの周年記念...

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