第145章 あなたと一緒に帰る

辻本雨妃は何も言わず、ただ静かに耳を傾けていた。

「海外の治療プランと環境のほうが、あいつの病状にはプラスになる」立花時安は続ける。「あいつは俺の息子だ。なら、俺が責任を負うべきだろ。だから国外で治療を受けさせるつもりだ。会社のほうは従兄にしばらく任せる」

そう言って、彼は言葉を切る。瞳の奥にかすかな期待を滲ませたまま、辻本雨妃を見た。

「いつ戻れるかは……まだ分からない」

けれど辻本雨妃は淡く頷いただけで、ふっと笑みを浮かべて彼を見返した。

「父親として、あなたは何年も不在だった。これからは、立花零にちゃんと埋め合わせしてあげるべきよ。安心して。研究室は私が見ておく。問題は起こさ...

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