第150章 彼は心配している

笹川彦樹は後部座席に身を預け、気楽そうな口ぶりで切り出した。

「今日の入札、参加企業が多いですね。老舗の半導体メーカーも何社か来てる。ところで――立花グループ、最近技術責任者が替わったって聞きましたけど。辻本嬢、あなたですよね?」

首を傾けて彼女を見る。口元には薄い笑み。

辻本雨妃は返事をしない。ただ前方の道を淡々と見据えた。

笹川彦樹はその冷たさなど気にした様子もなく、勝手に言葉を続ける。

「俺も今日、入札に参加します。笹川グループが落札できたら、今後は立花グループと組むことになる。そうしたら――これから、よく会えますね」

そこで声に、含みのある期待が滲んだ。

「楽しみにして...

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