第151章

浅井景辰はふいに身を乗り出し、片手を彼女のシートの背もたれの縁に突く。車のドアとのあいだに辻本雨妃を半分囲い込むような距離で、低く言った。

「辻本雨妃。お前、いつからそんな意地っ張りになった」

近すぎる。胸が勝手に跳ね上がる。けれど次の瞬間、雨妃は怒りを込めて彼を睨み返した。

口角をつり上げ、嘲るように言い放つ。

「浅井社長の心なんて、昔から初恋の相手にしか向いてないでしょう。私がどんな人間かなんて、知るはずない」

言い終えた途端、車内はしんと静まり返った。

我に返って、雨妃自身が一瞬固まる。

……今の、嫉妬みたいに聞こえた。

浅井景辰も同じように言葉を失ったらしい。黒い瞳を...

ログインして続きを読む