第28章 酒を飲まされる

その言葉を聞いた瞬間、辻本雨妃は危うく噴き出すところだった。

「従順?」乾いた笑いが喉の奥で鳴る。「浅井景辰、それって人間じゃなくてペットに言うことよね」

ハンドルを握る浅井景辰の指が、わずかに強張った。

「昔の私は確かに従順だった。あなたに無視されても黙って、日野遥に侮辱されても言い返さないで……それどころか、結婚していながら浮気されても耐えた」雨妃はそこで一拍置き、唇の端を吊り上げる。「夫だと思ってた。結婚を、信じるものだと思ってたから。でも今の私が、どうしてまだあなたに譲らなきゃいけないの?」

車内の空気が重く沈む。

やがて浅井景辰は路肩に車を寄せて停め、顔を向けた。複雑な色...

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