第31章 ずっと待つ

書類袋を見つめ、辻本雨妃は唇をきゅっと結んで微笑み、手を伸ばして受け取った。

「浅井社長、ご安心ください。私は昔から約束は守ります。日野さんがもう私にちょっかいを出さないなら、私も二度と何もアップしません」

そう言い終えると、彼女は立ち上がり、そのまま出ていこうとする。

だが浅井景辰がふいに立ち上がり、彼女の手首を掴んだ。声には、わずかな焦りが滲んでいる。

「そんなに急いで……立花時安のところへ帰るのか」

掴まれた手首へ視線を落とし、辻本雨妃は波ひとつ立たない目で言った。

「浅井社長、私たちはもう離婚しています。ですから私のことは、あなたには関係ありません」

掴む指が、ぎゅっと...

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