第32章 彼女が無能なだけ

翌日、立花時安はどうしても辻本雨妃を家で休ませたがった。

透は学校へ、家政婦は買い出しへ、立花時安は会社へ。家に残ったのは、雨妃ひとりだけ。

ソファに腰を下ろし、研究レポートをめくっていたときだった。スマホの着信音が、ふいに部屋の静けさを切り裂く。

須藤言からのメッセージだった。

――木下華介と、昨夜いっしょになって騒いでいた連中が全員、拘束されたらしい。

とくに木下華介のDS会社は、ここ数年ずっと違法な経営をしていたことが一夜にして暴かれ、三十分前に破産を発表した、と。

文面を読み終え、雨妃はしばらく呆然とした。

この雷みたいな手際……立花時安のやり方に、よく似ている。

け...

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