第38章 少しも嬉しくない

浅井景辰の意識が辻本雨妃にばかり向いているのを見て、日野遥の胸にじわりと不快感が広がった。

「辻本さん、本当に許していただきたいんです」

一拍置いて、彼女はお腹に手を添え、いっそう真摯な声を作る。

「この数日、私もそのことでずっと眠れなくて……」

その言葉に、辻本雨妃は思わず鼻で笑った。

「日野さんって、本当に独特な理屈をお持ちなのね」

おかしそうに彼女を見やる目には、あからさまな皮肉がにじんでいる。

「先に間違えたのはそっちでしょう。それなのに今度は妊娠を盾にして、私に許せって言うの? どういう理屈?」

日野遥の顔から、さっと血の気が引いた。

「私……」

「あなたが妊娠...

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