第47章 あの子は立花姓ではない

「辻本雨妃はただの孤児だぞ。まさか、そんなに簡単に嫁げると思ってるのか?」

――あの時だってそうだ。祖父が意地になって縁組を推し進めなければ、辻本雨妃が浅井家の門をくぐれるはずがなかった。

江口准は、主である旦那を深く見つめた。それから身を乗り出し、下に重なっていた二つ目の資料を抜き取って差し出す。

「浅井社長、こちらもご覧ください。辻本嬢のスイスでの動きです」

浅井景辰は受け取り、ページをめくった。

辻本雨妃はスイスに渡ってすぐ、画廊を開いている。大繁盛とは言えないが、生活が破綻するほどでもない。

二年目、立花時安と再会。三年目、立花時安は彼女を連れて立花家の大奥様の寿宴に出席...

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